ブックタイトル一般財団法人 なら建築住宅センター 40th ANNIVERSARY 1975-2015
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一般財団法人 なら建築住宅センター 40th ANNIVERSARY 1975-2015
40周年記念特別対談を下げてしまいます。技術をどういう場所にどのように使うのかということは、慎重に考えていかなければいけないと感じました。有吉例えば「階段を上ることが億劫になった」といった場合に、エレベーターを取り付けるだけが解決なのかとる生活環境に柔軟性をもって対応していくこともできるようになります。ハード面とソフト面、両方をうまく合わせていく必要があると思います。多様化する?「豊かさ」という価値観いくような気がします。機械に豊かにしてもらうのではなく、自分の享受の仕方で豊かになれる。「不自由を楽しむくらいの生活ができる人であること」が豊かさになっていくような気がします。楽しめない人にとっては「不自由な生活」かもしれませんが。何もかも満たされるいうことですよね。緩勾配にして手すり西濵これから「豊かさ」のパラダイよりも、何か満たされない部分がないと、を付け、休憩できる踊り場を設け、リビングと視線が合うようにして、「もうちょっとがんばってみよう」という気持ちになれるような負荷を作り出す方が、無意識に健康を維持することにつながります。作り手としては、こういったことを意識しておかないといけないと思います。西浦私としては「くつろぎ」や「ゆとり」が住宅に対する普遍の欲求だと思っていましたが、そこに多少の「不便」「負荷」を持ち込もう、というお考えは大変新鮮なものがあります。ムが変わっていくのかなと思います。物が溢れている現代は「ミニマリスト」など物に固執しない風潮が出てきています。住宅に関しても、同じではないでしょうか。一昔前は「我が家は全室にエアコンが付いています」というのが豊かさの象徴だったかもしれませんが、「うちは1台もエアコンがないですが、夏は風が通り、冬は窓から暖かい光がさします」といったことが豊さになって“満足”というのは出て来ないのだと思います。技術革新を追い求めながら?本当の価値を見極める石井近い将来、家ごとコンピューターになっているといった時代は来ると思います。健康管理をした上で、室温を自動で調整するような。本当にそれが人にとって快適か。健康に長生きでき東適度な負荷は良いと思います。極端に寒い、暑いというのはもちろん取り除かなければいけませんが、完全に一年中同じ室内温度に調整されていることが、本当に快適なのかということです。石井常に同じ室温の「四季を感じない家」を造ろうと思えば造れますが、それが快適なのかというと、そうではないですよね。有吉住まいという空間の中で、「ここは非常に快適」だけど、「この部分はちょっと負荷がかかるよね」というスペースがあって良いのではないかと思います。これまでの住環境については、ハード面でリノベーションしていくことで解決しようとしていましたが、今後はITを含めたソフトで、刻一刻と変化す西濵浩次株式会社コンパス建築工房代表取締役京都工芸繊維大学非常勤講師Profile 1978年京都工芸繊維大学住環境学科卒業、1987年西濵建築事務所設立、1998年株式会社コンパス建築工房に改組現在に至る。朝日放送「大改造!!劇的ビフォーアフター」に匠として7回出演。(2003年、2004年、2011年、2013年、2015年)東実千代畿央大学健康科学部人間環境デザイン学科教授Profile奈良女子大学家政学部住居学科卒業後、ハウスメーカーにおいて設計職に従事。その後、奈良女子大学大学院人間文化研究科博士後期課程を修了、奈良女子大学生活環境学部助手、同大学院人間文化研究科助手などを経て、2014年より現職。住環境学室内空気環境、温熱生理心理に関する研究を行いながら、大学において教育活動に従事している。Nara building housing center15